圧力


 書こう書こうと思っていてのびのびになってしまった.最近は非常にたくさんの気になることがありました.そんな出来事に共通したのが圧力というもの.そして,国というもの.
 外務省のNGO不参加問題.結局はああいう形で決着ということになりました.皆さんはどういう感想を持ったでしょうか.予算委員会での重家局長の答弁は痛々しかった.自分の意見を言うということがどれだけしんどいことなのか.あれは,当局からのすさまじい圧力と自分の良心との狭間でもがき苦しんでいる様だったのでしょう.
 僕はまだ学生なのでああいう類の圧力というものがどれほどのものなのか想像することはできません.圧力に抵抗しようとするのは非常に勇気と覚悟がいる行動です.しかし,圧力に屈して意のままに動くのは,さぞかし楽で気持ちがいいことなのでしょう.自分で考えるということをしなくていいし,第一責任をとらなくていい.まさに,禁断の果実なのでしょう.野上次官と重家局長.好対照でしたね. 

 話は変わってアメリカ.大統領教書演説で悪の枢軸と呼ばれる国が名指しされました.ソルトレーク五輪の開会式でも大統領から政治的な発言がありました.毎度のことながらアメリカという国の危うさと,ブッシュの無能さには危機感を覚えます.
 果たして,あのテロで一番得をしたのは誰なのか?一番損をしたのは誰か?一番損をしたのは明らかにアフガン難民です.誤爆で殺された一般民.じゃあ,一番得をしたのは?僕はアメリカの軍産複合体だと思っています.冷戦が終わって,CIAはその存在意義が薄れ彼ら自身非常な危機感を覚えていた.なんとか,自分たちのアイデンティティを確立しないといけない.
 そんなときにテロがあった.犯行グループを断定し,それを悪の化身に祭り上げた.国民の愛国心を高揚し,星条旗一色になった.テロの背景にある,さまざまな政治的,民族的,社会的な問題をなおざりにして,単純な善対悪という構造に帰着させた.新たな敵を見つけたCIAは生き生きと活動し,国防費は膨れ上がり,軍需産業は潤う.ITバブルがはじけ停滞気味の経済も軍需によって立て直すのか.
 ひとまず,アフガンの新体制が決まると,今度は教書演説で悪の枢軸国を名指しし新たな目先の敵を国民に刷り込む.もともと,ブッシュも鷹派だがラムズフェルド国防長官を筆頭に軍拡への相当な圧力もあったに違いない.ベトナム戦争の時と何ら変わりは無い.軍部とCIAの一人歩きが危ぶまれる.

 様々なプレッシャーと必死に戦いながら,競技をするオリンピック選手を見ながらそんなことを思った今日この頃.そこには政治的な色合いもない,純粋な戦い.まあ,しかしながらオリンピック自体にはまだまだ黒い陰が暗雲と立ち込めていることには違いは無いですが.

 



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