今日は3回目.ひとまずは最終回.皆さん読んでくれてるでしょうか.前回はクジラは知能が高いから云々といった話をしました.それは捕鯨シリーズ第1回目にある,NGOの主張の1番目にあたります.今回はその主張の2から6番をからめて説明していきたいと思います.これらの主張は別個に取り扱うよりもまとめたほうがいいように思うので. クジラは絶滅の危機に瀕している. という主張に関して.確かに大型でヒゲクジラの仲間であるシロナガスクジラなどは数が非常に少なくなっていますが,歯クジラであるミンククジラなどは充分な生態数があるという科学的な調査が出ています.つまり,一定の捕獲枠以下で捕鯨を行うのであればミンククジラの生態にはなんら影響を及ぼさないという結果が出ているようです. さて,こっからがいよいよ核心に近づいてきます. 種の保存のためにも地球資源の過剰利用はいけない. NGO(とくにWWF)は自然保護あるいは環境保護ということに関して“環境資源の持続的利用”ということを大前提にあげています.まあ,限りある資源をなくさないよう,持続的に利用できるようにそれらを保護していこうということだと思います.これが曲者なんです.確かにその主張は正しいと思います.しかし実際にはそれと違う行動を起こしているのです. 捕鯨全部を否定しているのではない.アラスカイヌイットなどによる伝統的な生存捕鯨には反対していない. ここで大事なことは“たとえ資源を(商売ができる程度に)余分に捕ってもその種の存続に影響しない場合”と,“たとえ必要最低限の摂取にとどめたとしてもその種の存続が危ぶまれる場合”があるのです.ミンククジラは前者,ホッキョククジラは後者にあたります.自然保護という観点に立てば,問題があるのは明らかに後者です.よって,持続的利用のためには必要最低限でもだめな場合があるのです.明らかにイヌイットの生存捕鯨を禁止するべきです(NGOの主張に基づけば).イヌイットといっても実際にはアラスカ州に住むアメリカ人なのだから,連邦政府なり州政府がその気になれば彼らが捕鯨をせずとも生きていけるような援助をできるのです. さらに言えば,アメリカの活動家たちは“かつてはアメリカも捕鯨していたがそれを自主的に犠牲を払って禁止したのだ”と言います.しかし,アメリカやオーストラリアなどの捕鯨は主に油を取るためで鯨肉を食べる習慣はありません.だから,ほかから油が取れる今はそもそも捕鯨の必要性が無いだけの話なのです.100歩譲って犠牲を払って捕鯨をやめたと認めましょう.それでも矛盾は残ります. だから,捕鯨をすることによって生活がなりたつという人が少しでもいて,その捕鯨によって種の保存が危ぶまれなければ商業捕鯨を認めるべきです.これが今の僕の気持ちです. そもそも,鯨肉は嗜好品であり,今や高価な希少品になった.近代捕鯨の歴史も浅い.そこまで捕鯨にこだわる必要があるのか? だからこんな主張はチャンチャラおかしくて話にならんのです.ここまで読んでくださった皆さんならこれのどこがだめなのかもうお分かりですよね. ここまで,これでもかなり簡単にはしょって述べてきたつもりです.とにかく分かって欲しいのは自然保護だ環境保護だと騒ぐのは簡単だけど,それは単に都市生活者のエゴかもしれないということです.自分にまったく関係の無いアマゾンの熱帯雨林が減少していると聞けば,けしからん何てことだ,伐採するやつらは許せん!と憤るのは簡単です.でも実際にその雨林で働くことによって生計を立てている人もいるし,そもそもその開発に乗り出したのは政府だったりするからです. いかがでしたか.以上3回にわたってお届けした捕鯨シリーズ.楽しんでいただけたでしょうか.本当はまだまだ言いたかったこともあるのですが,いささか内容がのめりこみすぎる嫌いもありますのでひとまずはこの辺で.また,NGOに関連した話題をお届けできるかと思います. |